リアル構造物を作るのはSimutransより大変だという話

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今日は12月4日、『ご注文はうさぎですか?』(Koi)のチノちゃんの誕生日です。

おめでとうございます。

 


みなさんお久しぶりです。くきゅりん(元・区急泉ケ丘)です。

今日はSimutrans関連ということで、景観プレイや現実重視のプレイで役に立つかもしれない、リアルSimutransのお話です。

Simutransで何かを作るとき、どれくらい時間がかかるでしょうか。

鉄道なら鉄道、道路なら道路のツールバーを開き、当該のアドオンを選び、作りたい区間にびよーんとマウスを動かすだけで、作りたいものができます。

 

 

画像のような橋であれば、橋脚を敷いて線路を敷いて、だいたい10秒くらいでしょうか。

もし作り変えるとしたら、いったん撤去ツールで壊して再設置、だいたい20秒くらいです。


ではもし、同じことを現実世界でやると、いったいどれくらいの手間がかかるのでしょうか。

【Step.1 橋脚を建てる】

橋脚を建てるということは、橋脚を作るということでしょうか?

いいえ、小泉進次郎のようにはいきません。

橋脚を建てるためには、まずその土台部分を作る必要があります。

Simutransをはじめとする様々なゲームでは、高架構造に橋脚は登場しますが、埋まっている部分まで作るものはあまり見られません。

実は橋脚は、地上に見えている部分の地下に、長い長い杭や基礎部分が存在し、岩盤から地上の構造物を支えています。

杭の工事も人間がえっさほっさ手掘りしていくものからガシガシ重機で掘っていくものまでさまざまですが、

そんなものを下に作ってから、やっと地上に見える橋脚本体の工事が始まるんだなあということを覚えておいてください。

※ちなみに、橋脚の下には杭や基礎が埋まっているということは、高架橋の下にトンネルが並行することはあまり現実的でないということです。
 実際、大阪で建設が進んでいるなにわ筋線新難波駅(仮称)では、既設の阪神高速の高架橋を避けて駅が設置されるため、歪な構造になっている、のような例があります。
 Simutransをプレイするうえでも、気にしてみるといいかもしれませんね。

 


【Step.2 橋を架ける】

橋を架ける方法は、どこかで橋を作って持ってくる方法と、現地で橋を材料から作っていく方法の、大きく2種類あります。

どちらも様々な方法があり、現地の状況(周りに何があるか、どれくらいの長さか などなど)に応じて使い分けることになります。

覚えておいてほしいことはただ1つ、「隣の橋脚までたどり着かないと橋は落ちる」ということです。

言われてみれば当然かもしれませんが、橋というものは2か所以上で支えているから安定しているのであって、1か所で支えるだけだと倒れたり落ちたりします。

このため、隣の橋脚までの区間(1スパン)分を一気に作ったり、仮の支えを置いたり、1つの橋脚から前後に同じ長さずつ伸ばしたりと、いろんな工夫がなされています。

Simutransの橋は謎のチカラによって支えられていますが、現実の橋は落ちてこないように工夫してるんだなあと覚えておいてください。


【Step3. 線路を敷く】

Simutransのアドオンでは橋本体と線路や道路が一体化していますが、現実ではたいてい別の工事となり、橋が架かってからレールや舗装が敷かれます。

 

【これで完成…?】

高架橋を例に、すごく簡単に作り方を説明しました。なんだ簡単じゃんと思った方もいるかもしれません。

しかし、実際はここにない準備や片付けも非常に手間がかかります。

たとえば、地下に100m3の何かを作るということは、100m3の土が出てくるということです。その土をどこに捨てるのか?という新たな問題が出ます。

(マイクラだと1m3のチェスト1つに1700m3の土が収まるんですが、現実だとちゃんと1700m3あるんですよねえ・・・)


他にも材料をどうやって搬入するのか? クレーンをどこに置くのか? みたいな問題もあります。(真横が空き地ならどこでもいいんですが)

 

【結論】

橋を1つかけるだけでもこれだけ手間がかかるということを、すごくざっくり説明しました。

実際に橋を架けたことがあるわけではないので、もっと大変なことが抜けているかもしれませんが、少なくとも手間であることは伝わったでしょうか。

手間がかかるということは、それだけ時間とお金もかかるということです。

Simutransでは簡単に行いがちな線形改良が、現実ではあまり行われないのは、比較にならないくらい手間が大きいためなのです。

逆に、線形改良などを最小限にすると、(線形は微妙になりますが)現実志向になるのかもしれません。

 

【余談:なぜ現実の橋はまんべんなく工事が進まないのか】

都市部で高架化区間などを観察していると、高架橋が完成している場所と橋脚すら立ってない場所が混ざっていますが、なぜまんべんなく工事が進まないのでしょうか。

それは、橋脚屋さんも高架橋屋さんも人数が限られているなか、できるだけフル稼働させるためです。

全部一斉に橋脚を建てようとすると、その間高架橋屋さんは暇になりますし、橋脚屋さんは人手が足りません。そして完成後は逆が起こります。

一方、1か所ずつ工事を進めると、橋脚ができたところから高架橋の工事ができるので、より早く工事が終わります。

 

いかがでしたか。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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