インフラ整備の「コスパ」を考える

こんにちは、区急泉ケ丘です。

今日は12月4日、『ご注文はうさぎですか?』のチノちゃんの誕生日です。おめでとうございます。

さて、 #SimutransAdventCalendar2021 4日目 のお題として、今日はインフラ整備の「コスパ」を考えてみたいと思います。

 

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Simutransにおける「コスパ」とは

 コスパ(コストパフォーマンス、費用対効果)とは、ある物事のコスト(費用)に対するパフォーマンス(効果)を表したものです。インフラ整備では「費用便益比」「B/C」と呼ぶことが多く、その分析を「費用便益分析」と呼びます。

 Simutransにおいても、プレイの基本は鉄道や道路などのインフラ整備であり、現実と費用便益分析を念頭にして整備を進めることで、リアルな都市・交通網の発達が楽しめるのではないかと考えます。

 なお、筆者は関係者でも何でもないので、内容に誤りがある場合があります。ご了承ください。

 

現実におけるインフラ整備の費用便益分析の流れ

 現実世界では、一般に以下のような手順で費用便益分析が行われることが多いようです。

・ある路線について、複数の整備計画候補(ルート、規模等)を考える

・それぞれについて費用と便益(≒効果)を算出する

・複数の計画案を比較して、費用対効果の良いものを基に整備計画を固めていく

そのうえで、実際に作るかの判断が行われ、整備が行われます。

 

では本題の、費用と便益の算出方法を、鉄道の新路線の例で説明しながら、Simutransへの適用を考えていきます。

 

費用の算出

 費用には大きく分けて「初期投資」と「維持改良費・再投資」があります。初期投資は建設費の他に、用地取得にかかる費用が含まれ、維持改良費(定期的にかかる費用)としては車両費などが含まれます。

 Simutransにおいては、用地取得や車両の寿命という概念がないので、ほぼ建設費に相当すると言って差し支えないでしょう。作る路線をリアルにするという意味では、使う用地を最小限にする(不必要に大きい駅を作らない等)などの工夫ができそうです。

 

便益の算出

 便益は様々なものがありますが、ざっくり分けると、利用者への効果、事業者(供給者)への効果、社会全体への効果の3つに分けられます。

 利用者への効果は、移動にかかる所要時間の短縮や費用の減少が第一に挙げられます。このほか、混雑の緩和や運行頻度の増加、乗換利便性の向上など、一般に「新路線・設備の効果」だなあと利用者が感じるようなものが対象となります。

 事業者への効果としては、単純にその路線・設備による収益があります。また、接続している他の路線の利用者が増えるという、間接的な効果も想定されます。

 そして、社会全体への効果です。自然環境への効果として、CO2やNOxの排出量削減や、騒音の改善があります。また、道路混雑の緩和や、交通事故の減少も効果として算入されることがあります。これらは鉄道路線の効果として忘れられがちですが、大事な効果の一つなのです。

 Simutransにおいては、混雑(赤棒)の緩和や新規開発がメインとなり、既存の街への効果というのは忘れられがちだと思います(個人の感想)。citycarをはじめ道路交通への影響や、所要時間(輸送の効率)という視点で路線計画を立てるというのも、面白いのではないでしょうか。

 

結局、何が言いたいのか?

 Simutransでは、中盤以降は何をどうやっても黒字になり、脳死で作業をするゲームになりがちです。そのようなときに、「コスパ」を意識してプレイしてみると、新たな楽しみになるのではないかと思います。そして、同様の視点で現実世界のプロジェクトにも興味を持っていただけると嬉しいです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

参考文献

鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル(2012年改訂版)

国土交通省鉄道局 2012年7月

https://www.mlit.go.jp/common/000224631.pdf